ファラデーの知の拠点ブログ〜独学のための学びのネットワーク〜

東京大学大学院教育学研究科で認知心理学をベースとした知識の関連づけに関する研究を行っていました。現在は物理を教えている高校・中学校教員です。読書を中心とした独学するための学びの指針を提示していきます。おすすめの書籍、参考書、問題集などの紹介が中心です。様々なトピックについて記述し、それに関連する本を紹介することによって、とある分野の知識と教養を効率的に身につけることができるガイドラインに、当ブログがなることを願っています。

【2021年度版】大学受験 高校物理 勉強法 おすすめ参考書4選(物理のエッセンスを使用しない場合)

こんにちは!!

東京大学大学院教育学研究科で教育心理学的アプローチで物理教育について研究をしていたファラデーと申します。

 

今回は、

 「【2021年度版】大学受験 高校物理 勉強法 おすすめ参考書4選(物理のエッセンスを使用しない場合)」

というテーマでお話していきたいと思います。

 

 

日本の大学入試を突破することを考えると、まず前提として学校で配布された検定教科書で、物理量や用語の定義の確認をしながら進めることは必須です。

 

なぜなら、大学入試問題を作成する大学教授は、各出版社の高校の教科書を複数参照しながら入試問題を作成しているからです。例えば、数研出版、啓林館、実教出版第一学習社、東京書籍などです。

 

また、小手先の「物理の解法のテクニック」ではなく、「物理の基礎的な概念」がしっかり理解できていれば、物理の大学入試は突破できます。

 

レベルの高い大学になるほど、入試問題の質が高い傾向にありますが、そういう質の高い大学入試問題というのは高校の教科書をしっかりと分析して入試問題が作成されています。

  

その中で、どの出版社にも共通で書いてある事項を洗い出すこともします。

 

 

ですので、学校の教科書は適宜読み込むようにして下さい。

 

その上で、以下の市販の参考書・問題集を使用していくと良いでしょう。

 

 

【基礎レベル】偏差値0~50

『宇宙一わかりやすい高校物理 力学・波動』鯉沼拓(著)学研教育出版

 『宇宙一わかりやすい高校物理 電磁気・熱・原子』鯉沼拓(著)学研教育出版

※このレベルは必須。例題や別冊の問題集も全て解きましょう。

 

この参考書の良いところは、ページの右半分が全て図、絵、グラフなどになっている点です。

 

高校物理では、まず物理現象のイメージをつかむことが大切になります。

 

それを徐々に数式を用いた抽象的な議論をしていけるように段階的に物理の実力を伸ばしていくことが大切になります。

 

思い切ってページの右半分を全てイメージを醸成するビジュアルにしているのは、おそらく日本で本書のみです。

 

詳しくは、以下の記事を参照

faraday.hatenablog.jp

 

 

 

【標準~発展レベル】偏差値50~70

『解法の発想とルール 力学・電磁気』為近和彦(著)学研教育出版

 『解法の発想とルール 波動・熱・原子』為近和彦(著)学研教育出版

※「入試問題に挑戦」の問題は、結構難しいと感じるはずです。そこで、本文と基礎例題を解いた後は、③に取り組みましょう。

 

本書の良いところは、解説にクセがないところです。

 

かといって解説が堅苦しいわけでもありません。

 

本質を突いた言葉で、物理の入試問題を解く問題解決能力を大いに引き上げてくれる一冊です。

 

なぜそのように解くのかという解法の必然性が見えてきます。

 

詳しくは以下の記事を参照

faraday.hatenablog.jp

 

 

 

 

『為近の物理ノート 基本編 代々木ゼミナール 解法の必然性を学ぶ』

  為近和彦(著)代々木ライブラリー

※MARCHレベル、地方国立大レベルまでなら、ここから過去問に進めば大丈夫です。

 

私は、高校の物理の教員かつ大学院で認知心理学の知見を用いて物理教育を研究しているものですが、物理の授業で意識しているのが「解法の必然性」です。

 

教員の中には、「こうやって解くんだよ」とそれだけ教える人がいて、それに対して生徒が「なるほどそうやって解くんだ!」とだけなる授業場面に山ほど遭遇します。

 

しかし、「なぜそうやって解くのか」「どうしたらそのような解法の発想が出てくるのか」という「解法の必然性(モチベーション)」を学ばなければ、物理の問題は自力で解けるようにはなりません。

 

具体的な物理の知識や解法を、抽象化して様々な状況に普遍的に適用できる、より高い次元の視点を獲得する必要があります。

 

そうしないと、一見見たことのないような問題が出題される難関大の入試問題には太刀打ちできません。

 

そのためには、「物理の解法」を学ぶというよりは、「物理」を学ぶ必要があるのですが、この本はそのような「物理」と「解法の必然性」を提示してくれる良書です。

 

※MARCHや地方国立大レベル以上を狙うなら、③を終えたら、②の入試問題に挑戦と、志望校の過去問問演習に取り組みましょう。 これで、東大・京大・医学部レベルまでOKです。27カ年シリーズなど、過去問演習をガンガンやりましょう。

 

 

【+αレベル】偏差値70~80 

『為近の物理ノート 難関理工医系対策編 代々木ゼミナール 必然性で解く』

  為近和彦(著)代々木ライブラリー

※受験まで余裕があり、物理で確実に高得点を取りたいのならやる。結構難しい問題ばかりですが、このレベルの問題集にしては、解説が丁寧です。

 

上記③で示した「解法の必然性」と「ちゃんとした物理」を学べる良書です。

 

収録されている問題は、古くから残り続けている良問が多いです。

(古い問題ですので、27カ年シリーズなどを解いても、ほとんどの問題が被りません。そこも利点ですね) 

 

結局、古くから残り続けている良問を解くことは、予測不能な来年の入試問題に直結する勉強の仕方だと考えています。

 

一流の人は、古くから世の中に残ってる哲学などの名著を読むことと同じですよね。

 

 

 

【物理の過去問シリーズ】志望校に合わせて

 

自分の志望校に、27カ年シリーズなどがあるのならば、自分の志望校がどういった物理的なものの見方、物理的な思考を求めているのかを徹底的に研究すると良いです。

 

 

      

 

【物理のセンター試験 過去問シリーズ】

 

2021年入試から大学入試共通テストになりますが、それでもセンター試験の過去問を徹底的に研究することは効果的です。

 

2012年からの「物理基礎・物理」に分かれた年からの本試験と追試験をやるようにしましょう。

 

  

 

 

【最後に】

 

現在の日本において、『物理のエッセンス』を使用しないならば、この為近和彦先生の参考書のルートが最適であると考えています。

 

大学受験の時も、大学に入学してからも為近先生のサテライン講座を受講し続け、教育心理学の知見も取り入れながら研究し尽くした結果、そう確信しています。

 

為近先生の解法は、クセがないので、為近先生の参考書・問題集一本で勉強しても、汎用性の高い解法となるので問題ありません。

 

 

皆様の物理学の本質的な理解が高まることを願っております。 

 

ファラデー