【2021年度版】おすすめの素粒子物理学入門書 『すごい実験〜高校生にもわかる素粒子物理の最前線〜』多田将(著) イースト・プレス
こんにちは!!
東京大学大学院教育学研究科で教育心理学的アプローチで物理教育について研究をしていたファラデーと申します。
今回は、
「【2021年度版】おすすめの素粒子物理学入門書 『すごい実験〜高校生にもわかる素粒子物理の最前線〜』多田将(著) イースト・プレス」
というテーマでお話していきたいと思います。
『すごい実験〜高校生にもわかる素粒子物理の最前線〜』多田将(著) イースト・プレス
著者の多田将先生は、高エネルギー加速器研究機構の准教授の方です。
素粒子物理学について、わかりやすくまとめられています。
この本は、著者の多田さんが、とある私立高校の生徒向けにした授業をまとめたものなので、高校生にもわかるように書かれているということです。
私は、高校の物理教員でありながら、素粒子についてはあまり詳しくありませんでした。
お恥ずかしいですが、私は30歳ですので、高校生の頃に物理の授業で原子物理分野は履修しなかったんですよね。
今の高校の物理の課程(学習指導要領)では、必修になっています。
日本の素粒子物理学の研究は世界でもトップクラスです。
梶田隆章先生や小柴昌俊先生は、スーパーカミオカンデを用いて、ニュートリノを捉え、ノーベル物理学章を受賞しましたね。
この本を読めば、ニュートリノとは何なのかということも知ることができます。
<本の要約>
第一章
この世でもっとも大きく、もっとも精密な機械
~J-PARCはニュートリノをいかに作り出すか?~
J-PARCとは、茨城県東海村にある実験施設のことです。ここから素粒子ニュートリノをビーム状にして発射し、それを岐阜県の神岡町で検出をしています。その距離はなんと、300kmです!
そんな長距離の実験装置ってどうなってるの!?ということが、わかりやすく説明されています。
第二章
人は、「小ささ」をどこまで想像できるか?
ここから、生徒とのQ&Aも載っています。私自身も疑問に思うことをQ&Aにしてくれていたので、理解が深まりました。
そもそも素粒子って何なのかということの概要を書いています。深く突っ込んだことは書かずに、本当に概要だけなので、まず素粒子の全体像を把握できました。
第三章
「知」が切り拓かれる瞬間
~スーパーカミオカンデはニュートリノをいかに捕まえるか?~
宇宙から飛来するニュートリノを我々は大量に浴びています。太陽光を浴びたら我々は光を浴びていると感じるのに、なぜニュートリノを我々は感じないのか。
また、ニュートリノは大量に飛来しているのにも関わらず、なぜ捕らえにくいのか。その想像を絶する「捕らえにくさ」について書かれています。
これらの困難な実験に立ち向かう研究者って、かっこいいなーと惚れ惚れしてしまいます!
第四章
100年後の世界のための物理学
~相対性理論と宇宙について~
この本は、相対性理論と宇宙についてのさわりの話まで分かりやすく理解できてしまうとは、欲張りな本で素晴らしいと思います。
やっぱり、素粒子とは何かという話の時より、素粒子のことがわかるとこんな未来が開けるかもしれない!という話は、ワクワクしながら読みやすいですね!
「スターウォーズに登場するライトセイバーって作れるんですか?」
「エヴァンゲリオンに出てくるポジトロンライフルは実現可能か?、ヤシマ作戦は本当に効くのか?」
なんていうQ&Aも登場し、科学的にまじめに答えていて面白いです(笑)
と、こんな感じで、素粒子のことをとにかくわかりやすく知りたいと思う方には、ぜひおすすめの一冊です!
ファラデー